移植における注意点
樹木の移植を行う場合、植栽後も今までと同じような良好な生育を保つために移植先の土地の条件や樹木の特性、移植時期など気をつけなければならない点がいくつかあります。
以下の点に注意しましょう。
移植の前に・・・
生育環境
移植しようとする樹木はどんな場所に生えていますか?
温度や光、水や地質など樹木の生育環境は、樹勢や根の状況を推定する手がかりとなります。生育環境を調べることで、堀取りの難易や移植の時期、鉢の大きさ、移植後の養生などその後の作業を決定するために効果的です。
樹勢
移植が可能か否かは移植しようとする樹木の様子からも判断しましょう。老木や大木、病虫害にかかっている木は移植が難しい場合が多いです。
移植の時期
移植の時期を選びましょう。
樹木には移植の適期があります。もし移植に不向きな時期に移植を行うと、移植後の生育が困難になることがあります。特に、大量の移植や老木、大木、貴重な樹木の場合などは移植適期を選ぶ必要があります。
運搬距離
樹木の運搬距離は植え付け後の活着に大きな影響を与えます。
遠距離で長時間運搬をする場合は枯損の大きな原因になるため、幹や枝葉を傷付けたり、根に直接風が当たって乾燥しないように気を付けなければなりません。
作業の前に・・・
枝葉の剪定
樹木を移植させるには根の部分を切断するなどして減少させるため、水分の吸収が極端に減少します。根からの水分・養分の吸収と、枝葉からの蒸散のバランスをとり、樹勢を保つために移植の前にはあらかじめ枝葉の剪定を行っておくようにしましょう。
断根部の腐敗防止
根の断根部は清潔に保ち腐敗を防止しなければなりません。断根部は新しく根を発生させる部分のため、切断部分は鋭利な刃物で削り直し、腐敗防止剤や消毒を行いましょう。
移植や植栽を不適期に行う場合は蒸散抑制剤を散布したり、根部に発根促進剤を施すなどして活着率を高め、良好な生育をはかりましょう。
支柱による固定
移植した樹木は、発根を促すために移植先の土と根を密着させなければなりません。木が風雨や人や物などの接触によって傾いたり倒れたりすることのないように、新らしい根を保護するために支柱の取り付けは必ず行いましょう。